旅行会社では、最も「インスタ映え」する場所を10時間かけてまわるツアーを提供して、このブームに便乗しようとしています。このツアーの行き先の中には、「秘密の」滝や「悪名高いジャングルのブランコ」などが含まれています(なお、「秘密の」="secret"というタグが付けられたインスタグラムの投稿は、すでに1万個以上もあり、いまなお増加中です)。 

インスタ写真3

 こうした出来事をとり上げた報道では、写真撮影の人々に焦点を合わせ、配慮を欠く傲慢(ごうまん)で見栄っ張りな人間として描いています。また、記事を読んだ人たちが書き込んだ、人の気分を害する投稿を非難するコメントもたくさん見られます。さらにこうした反発から、例えば「#ブルームをめちゃくちゃにするな(#dontdoomthebloom)」といった、ハッシュタグさえ生まれています。 

 こうした話を見聞きして、ソーシャルメディアがすべてをダメにしている新たな例として解釈するのは簡単です。が、おそらくより興味深いのは、インスタグラム世代にとって「滅多に見られない野生の草花の一斉開花も、インタラクティブ・アートの美術展や流行のもぐり酒場にあるネオンサインとさしたる違いはない」という考えのほうです。

 私たちの街では、「#instaready」なる場所がますます増えてきています。そんな中、大自然の中で起こる現象を目の当たりにすることもまた、インスタグラム上のバケットリスト(一生に一度はやりたいことリスト)に加らってきています。そして誰もが、「済」のマークを付けることに躍起になる時代を迎えています。

 つまり崇高なる大自然の現象も、例えばたくさんの写真が投稿されている草間彌生の展覧会「Infinity Mirrors」と、変らないアトラクションとして扱われています。