親子喧嘩をきっかけに経営不振に陥った大塚家具や、筆頭株主・伊藤忠商事と対立し、創業家社長が退任に追い込まれたデサント――。このところ続いている経営権を巡るゴタゴタが、消費者になじみ深い文具業界でも勃発した。コクヨと、同社が間接出資した未公開企業ぺんてるとの間で、すれ違いが起きている。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
今回の騒動の発端は、2012年5月のぺんてる創業家・堀江圭馬氏の社長解任劇までさかのぼる。当時42歳の堀江氏は取締役会で62歳を過ぎた役員4人の退任を求めたのだが、逆に業績不振を理由として堀江氏の緊急解任動議が可決されてしまったのだ。
返り討ちにあった理由を関係者は「会議への遅刻や無断欠席、海外で豪遊を繰り返すなど過去10年の放漫経営のせい。自業自得だった」と振り返る。
創業家である堀江氏とその家族は同社株を37.45%も保有していた。その後トップへの復帰を目指し大株主として何年も活動を続けたが、支持が得られず果たせなかった。創業者の別の一族も十数%を持っていたが、堀江氏はそれすらまとめることができなかったのだ。
返り咲きをあきらめた堀江氏が18年初頭に売却を持ちかけたのが、未公開株を中心に投資を行うマーキュリアインベストメントだ。日本政策投資銀行が出資する東証1部上場の投資会社で、傘下のファンドがぺんてる株約37%を取得した。金額は70億円弱とみられる。