たばこは迷惑…写真はイメージです Photo:PIXTA

たばこが体に「有害」なのは、いうまでもないことだ。それでもやめない、やめられない「愛煙家」は多い。喫煙者によるたばこへの異常な執着ぶりは、非喫煙者から見ると奇異に映り、滑稽に見えることも多々ある。折しも本日、5月31日は世界禁煙デー。愛煙家の皆さんはこれを機会に思い切って禁煙に取り組んでみてはいかがだろう。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

死んでもやめられない
ニコチン中毒の怖さ

 人気アニメ『ドラえもん』では、のび太のパパ、野比のび助の喫煙シーンがしばしば登場する。のび助は超重度のニコチン中毒だ。

 どう「超」なのかというと、家が吹き飛ばされるほどの嵐でも、たばこがなくなったら最後、絶対に買いに行く。「生命の危険」なんて、もう完全に意識の外に吹っ飛んでしまうのである。

 巷(ちまた)の愛煙家は「喫煙は悪ではない」「文化の一つである」と主張し、日本たばこ産業(JT)は「成人には、喫煙するかしないかを自ら判断し、個人の嗜好として愉しむ自由がある」という態度を断固崩さない。

 2016年には、国立がん研究センターが科学的根拠に基づき、受動喫煙による日本人の肺がんリスクは「ほぼ確実」から「確実」と評価。受動喫煙の防止を「努力目標」から「明確な目標」と提示したのに対して、JTは自社ホームページ上に社長名で「受動喫煙と肺がんリスクの関連性は明確ではない」と反論。国立がん研究センターがさらに「反論への反論」で応戦したことで、大きな話題になった。

 JTとしては、たばこの有害性を認めるわけにはいかない立場からのやむを得ない発言なのかもしれないが、世界ではもはや「たばこは有害」という認識で一致している。そんな中で、こんな「非科学的な反論」をしてしまうこと自体が、ニコチン中毒の怖さなのではないか。たばこのこととなると、いきなり思考力が欠如してしまう異常行動だ。

 それが、本当に恐ろしい。