喫煙によって起こる恐ろしい病気とは?
喫煙によって起こる恐ろしい病気とは?

5月31日は「世界禁煙デー」。日本では、5月31日から6月6日までが禁煙週間となっている。近年、喫煙による健康への被害が立証されるとともに喫煙者は減少しつつあるが、それでも喫煙をやめられない人は少なくない。では、喫煙を止めないことは、体にどれほど重大な疾患をもたらす可能性があるのか。今回はたばこが原因になっている「3大疾患」に着目して、北青山Dクリニック院長・阿保義久医師が解説する。

外科医はヘビースモーカー?

 皆さんの健康管理をつかさどるべき医師が「ヘビースモーカー」というのは、けしからん話だと思われる方が多いかもしれません。私は大学卒業後、自身の専門科として外科を専攻しましたが、多くの外科医師が喫煙常習者であることに当初、違和感を覚えました。

 ご存じのように外科は手術を担当する科です。私が所属した外科の医局は、当時、胃がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、乳がんなど、主たるがんの手術と、血管の手術を担当していました。

 早朝のカンファレンスでは、手術予定患者さんの検査や治療方針に関して毎回真剣なディスカッションが交わされる中、カンファレンス室はいつもたばこの煙で充満されていました。各臓器チームのリーダー格の医師たちは決まってヘビースモーカーでした。

 また、大学の医局を一時離れて都市部の機能病院で連日手術を担当することになった時も、手術の合間の休憩室では先輩外科医のほとんどがたばこを吸っていました。がんや大血管の手術という大きなプレッシャーを日々受けながら診療を担当する外科医は、そのストレス解消のためにたばこは手放せないのだろう、と当時は妙に納得していたものです。

 言うまでもなく、たばこが、がんや血管病の発症リスクを大きくすることはどの医師も重々承知しており、日常診療で患者さんには禁煙を説いているのに自らは日常的に喫煙しているという、矛盾に満ちた状況でした。

ヘビースモーカーの医師たちが
一斉に禁煙をはじめた理由は?

 ところが、いつの間にか、大学病院はもちろん、市中病院においても、カンファレンスルームはおろか公共の場で喫煙ができるスペースはあっという間になくなってしまいました。あのヘビースモーカーだった医師たちも、右にならうように皆一切たばこを吸わなくなっていました。その理由として、国際的に禁煙が求められる風潮にあったことも挙げられるでしょうが、何よりも、喫煙があらゆる医学的観点において、重大な健康被害を生むことを示す科学的論拠が日に日に耳に入ってくるようになったことが大きいと言えます。