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性満足度
世界ワーストから大躍進

『性と欲望の中国』書影『性と欲望の中国』 安田峰俊著 文藝春秋刊 850円+税

「爆買いから爆セックスへ」。手に取るのを敬遠してしまいそうな本書『性と欲望の中国』の帯だが、先日、『八九六四』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した書き手の作品と聞けば買いの一手だ。とはいえ、「爆セックス」が受賞後第一作とは幸なのか不幸なのか。

「はじめに」で著者が指摘するように、カネや食のように人間の欲望を反映する営みで社会を読み解くのは非常に有効である。エロも然りである。いや、むしろ、エロこそが欲望の塊である。中国の場合、その塊が14億人からなるとなればなおさらだろう。

 中国では長らく一人っ子政策など生殖への支配が続いた歴史もあり、性にオープンな印象は薄いが、ここ10年ほどでめまぐるしく変わってきたという。2000年代中頃までは、世界でも性満足度が日本を下回り、世界でワーストだったが今やセックスの頻度が平均で週1.2回、2回以上が3割を超えるとか。1ヵ月間以上性行為がないセックスレスの割合は未婚者も含めて7%。単純比較はできないが日本の30代男女が3割前後というから、日本で草食系がはびこる間に、GDP(国内総生産)と同じくこちらも瞬く間に抜き去られたのである。