米オクラホマ州オクラホマシティーの新築マンション「ブランドンプレース」は、最初に部屋に足を踏み入れたときには、特に目新しさは感じないかもしれない。キーコード入力方式のスマートロックや液晶表示装置(LCD)でタッチ操作する温度調節器などは2019年においては珍しいものではない。借り主は入居にあたり、こうしたスマートシステムがアマゾン・ドット・コムの音声アシスタント「アレクサ」搭載のデバイスで操作できることを教えられる。しかし、そうしたデバイスを彼らの新居に設置するために、アマゾンがどれだけ手を尽くしているかは知るよしもない。アマゾンがスマートスピーカーで争うグーグルやアップルは、エレガントな製品や高品質な製品で個々の消費者を引きつけ、ユーザー基盤を拡大している。一方のアマゾンは、そもそも消費者にハードウエアやサービスを選択してもらわなくても何百万世帯もの家庭に入り込む方法を見いだしている。あまり知られていないが、アマゾンには「アレクサ・スマート・プロパティーズ」というチームがあり、住宅建設業者や不動産管理業者、ホテル経営者らと協力し、アレクサ搭載のスマートスピーカー数百万台を全米各地の物件に設置すべく取り組んでいる。