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注目の「報告書」が出た

 金融審議会の市場ワーキンググループが「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書をまとめて話題になっている。

 本文で人口の高齢化とこれに伴って高齢者が保有する金融資産が大きくなってくることの事実と問題の指摘がなされているだけではなく、「【付属文書1】高齢社会における資産の形成・管理での心構え」「【付属文書2】高齢社会における金融サービスのあり方」と題された、高齢期の資産管理について具体的な方針を指導するかのような付属文書がついているからだ。審議会の報告書で、個人の立場に立ったアドバイスが行われているものは珍しい。

 高齢期の資産管理は、個人にとっても、社会全体にとっても、金融業界にとっても重要な課題だ。この問題について検討が行われたことは結構なことだし、報告書は抽象的な表現が多いが、付属文書も含めて、おおむね正しい方向性でまとめられていると評価していいだろう。金融業界人、ファイナンシャルプランナー(FP)等だけではなく、広く読まれるといいと思う。

しかし、正しく使われるとは限らない

 報告書の方向性は正しいと申し上げたが、ただし、この種のものが現実にあって「正しく応用」されるとは限らない。

 近年で典型的なのは「人生100年時代」という言葉だろう。人間の寿命が延び、そのことに伴って個人も社会も今までのやり方を変えていなければならないという問題意識自体は間違ってないし、これはそのことをキャッチーに伝える優れた表現だ。

 しかし、一方で、金融業界は「人生100年時代」という言葉が大好きなのだ。