財政健全化を目指すなら、消費税率引き上げの前に考えるべきことはないのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

手取り収入の減少が続き
現役世代の負担は徐々に限界へ

 日本の一般政府債務は、GDP比236%(2018年)と、他国に比べ突出している。こうした状況のもと、安倍首相は、財政健全化と全世代型社会保障の実現のため、消費税の税率を今年10月に引き上げる意向を表明している。OECDは、今年4月15日に発表した対日経済審査報告書において、日本が財政の基礎的収支(プライマリーバランス)を黒字化させるためには、消費税の税率を最大26%に引き上げる必要があるとしている。

 しかし筆者には、日本の現役世代の負担は、徐々に限界に近づいているように見える。賃金の伸びは依然として限定的だ。今年の春闘でのベースアップ(定期昇給を除く)は、政府からの再三の賃上げ要請にもかかわらず、前年比+0.6%にとどまった。一方、社会保障負担は、安倍政権が発足した2013年度以降、毎年2.9%~4.1%のペースで増加を続けている。

 賃金の伸びが限定的である一方、社会保障負担が着実に増加したことで、手取りの収入(可処分所得)の減少が続いている家計も多いと推察される。可処分所得の減少により消費が落ち込む可能性も考えると、税や社会保障負担の増加によって歳入が増加する余地は大きくないと思われる。

日本の財政赤字拡大の主因は
年金など社会保障費の増加

 財政の健全化を目指すのであれば、歳入の拡大だけでなく、歳出の削減・抑制も必要になる。日本の財政赤字の拡大は、社会保障費の増加によるところが大きく、社会保障費は、1998年度の14.8兆円から2018年度には33兆円へと、およそ2.2倍に拡大している。

 社会保障費と国債費を除く歳出は、2018年度で41.6兆円と、1998年度の45.5兆円からむしろ減少している。内訳をみると、公共事業(9兆円→6兆円)や、文教・科学技術費(6.3兆円→5.4兆円)の減少幅が大きい。これは、地方を中心としたインフラの荒廃や、大学の研究予算の削減が社会問題化しているとの指摘と整合的である。一方税収は、1998年度の49.4兆円から2018年度には59.1兆円への増加にとどまっている。