米国が中国への関税を引き上げ、メキシコにも発動の構えを見せたことで市場が動揺しているが、それは主に「未知のもの」への恐怖が引き起こしている。米国は1930年代以降、大規模な貿易戦争を経験したことがなく、それがどのような影響をもたらすのか知る者はいない。しかし、近代において類似の事例は見られた。1973年のアラブ諸国による石油輸出禁止だ。禁輸も現在の関税障壁も、信頼ある安価な輸入品(当時は石油、現在は製品)の供給が突如絶たれるという「供給ショック」を表す。米国の消費者や企業が支払う価格は跳ね上がり、信頼感に打撃を与え購買力を損ねた。1973年の禁輸措置により、石油価格は3倍に高騰。米経済は当時の記録で1930年代以来の深刻なリセッション(景気後退)に見舞われた。
米中「貿易戦争」の代償、石油ショックが教訓に
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