ドナルド・トランプ米大統領は7日遅く、メキシコからのすべての輸入品に追加関税を課すという脅しを「無期限に先送りする」と表明した。しかし、これは政策上の勝利と言うよりは、窮地を脱したと言うべきものだ。メキシコは移民の規制を強めることになるが、貿易以外の目的達成のために関税を利用するのは悪い政策であり、その対象が移民問題だけにとどまることはないだろう。メキシコは、同国南部にあるグアテマラとの541マイル(約871キロ)に及ぶ抜け穴だらけの国境に、新たに6000人の治安部隊を配置する。国境線を事実上支配し、不法入国の仲介や麻薬の密輸を行う組織の活動は、今回の措置により面倒になるだろう。なぜなら、国境越えの違法行為のほぼすべてが、太平洋岸寄りの西側約150マイルの国境線で行われているからだ。しかしこうした組織は、賄賂を使って政府の治安部隊を避ける方法も知っている。
【社説】メキシコの移民規制強化、米経済に影響
トランプ氏の関税を使った脅し、政治的にも悪い前例に
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