米携帯電話サービス大手TモバイルUSと同業スプリントが計画している260億ドル(約2兆8200億円)規模の合併は先月、米連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ委員長の賛同を得て、連邦規制上のハードル二つのうち一つを越えた。パイ氏は両社が譲歩案で合意したことを踏まえ、合併を支持すると表明した。スプリント株はこれを受け、19%急騰した。この表明について投資家は明らかに、司法省も追随する前兆と受け止めた。だが、FCCと司法省はしばしば足並みをそろえて進むものの、今回はそうならないケースの一つかもしれない。司法省はFCCとは異なり、一段と特化した使命を負っている。FCCは公益を基準とし、合併が消費者価格を押し上げるとしても、第5世代移動通信システム(5G)技術やその他サービスの開発促進といった面を検討することができる。司法省の使命は、消費者保護に焦点を当てている。5Gは反トラスト法(米独占禁止法)との関連性が薄い。司法省がこれまで警告してきたように、合併は「競争を大きく損なう」と判断した場合、FCCが承認しても意味がないかもしれない。