「打席に立ち続けても毎回、三振やゴロばかり。当時は何も考えずに、ただつくっていただけでした」

 ヒットの兆しが見えたのが2000年。頭のつぶれてしまったネジを外せるプライヤーができないかと考えたことがきっかけだった。通常、プライヤーはものをつかんで引っ張るため、先端部分には横溝が掘られている。しかし、特注の工具セットの特殊なプライヤーには縦溝が刻まれていた。それを見て、高崎はピンときたのだ。

 ネジを締める工具はあるが、外すための工具はない。これは面白いと開発し、「小ネジプライヤー」という名で発売した。だが、年間で800本程度しか売れなかった。それでも諦めず、改良を加え、ホームセンターや金物店など販売ルートも開拓した。それに合わせて、パッケージやデザイン、ネーミングを社員と一緒に考え直し、出てきたコンセプトがネジザウルスだった。

発売7ヵ月で7万本を売った
お化け商品「ネジザウルスGT」

SEMAショー海外展示会「SEMAショー」の風景

 2002年、初代ネジザウルスを発売すると、初月で4500本を売るヒットとなった。その後、2代目、3代目とシリーズ展開を図ったが、2008年のリーマンショックでぱたりと売り上げが止まった。

 さらなる進化バージョンの必要性を感じて、高崎は愛用者カード1000通を改めて読み返した。「グリップを握りやすくしてほしい」「先端を細長くしてほしい」などの多数を占める要望を取り入れたのは当然だが、5番目の少数意見だった「トラスネジを外せるようにしてほしい」という要望に着目した。頭が低いトラスネジは目立たないため、外装部などに使われる。高崎は「ダメ元でこの機能も入れておくか」と改良ポイントに加えたが、これが大ヒットにつながる分岐点だった。

 2009年に発売された4代目「ネジザウルスGT」は、驚くようなヒットとなった。発売7ヵ月で7万本を売り、お化け商品となった。このとき高崎は知的財産権も重視し、特許、意匠、商標などを取得。2018年8月では国内35件、海外38件のパテントを取得している。また、初めてグッドデザイン賞にも応募し、初参加で初受賞となった。