とはいえ、やみくもに笑いを取ろうとするのは、プレゼンではあまりにもリスクの高い行動です。テレビで見た芸人さんのまねを慣れない人がやろうものなら、とんでもない大事故につながりかねません。

 私も何度もそういう現場に居合わせて、極めてやりきれない気持ちになったことがあります。こうなると、居心地の良さは吹っ飛んでしまい、聴衆は「早く終わらないかな…」という気持ちになってしまいます。

「緊張」と「緩和」によって
効果的な笑いは生まれる

 詳しくは中北さんの著書『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』をご覧になることをおすすめしますが、少しだけご紹介すると、「笑いは『緊張』と『緩和』によって生まれる」というのが中北さんが教えるコツです。一定のまじめな時間を作った後で、ふっと緩めるような話を入れると、思わず笑いが生まれるそうです。まさに、プレゼンテーションの「息継ぎ」とつながるものがありますね。緩和をしてから緊張に徐々に戻していけば、聞いている側が疲れすぎずにすみますね。

 また、笑いには「自己開示」も大事だそうです。芸人さんたちは、自分たちの容姿や育った背景などを「ネタ」にすることがあります。場合によっては恥ずかしいことも、すべて笑いの源泉になることを知っているからです。このようなメカニズムを理解すれば、再現可能な笑いのストーリーを作ることができます。

 プレゼンテーションは準備8割、話し方によって得られる効果はせいぜい2割です。その場で妙におどけてみたり、くだけた話し方をしてみたりしても、大した効果を得ることはできないどころか、聞いている人たちが白けてしまって場が凍りついてしまうかもしれません。

 ここでちょっと笑ってもらおうかな、と思うのであれば「ずっとまじめな話をした後に自分の失敗談を入れて『緩和』の瞬間を作ろう」など話の戦略を立てておきましょう。アドリブで笑いを取るのは、プロでも非常に難度の高い技ですし、それはあくまで軸となる芸があって初めて成功するものです。

 笑いのメカニズムを研究して、ご自身のプレゼンテーションをより華のあるものに仕上げてください。

(プレゼンテーション・アドバイザー 澤円)