米民主党系の州司法長官10人は11日、ソフトバンクグループ傘下で米携帯通信4位のスプリントと同3位のTモバイルUSの合併を阻止する訴訟を起こした。このタイミングは偶然ではない。米司法省が近く合併についての判断を示すという状況下で、民主党、労組、大企業が手を組んで、合併阻止に動きだしたのだ。これは次世代通信規格「5G(第5世代)」のネットワークにおいて米国の主導権を犠牲にするものだ。州司法長官らは、合併によって「競争相手のスプリントが姿を消し、米全土を網羅する(携帯ネットワーク運営)企業の数が4社から3社に減る」と主張している。しかし、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズの2社による事実上の独占状態と比べ、強力な3社が存在する市場の方が競争は活発になる。ベライゾンの契約件数は1億1800万件、AT&Tの契約件数は9400万件なのに対し、Tモバイルとスプリントの契約件数はそれぞれ7900万件、5400万件だ。巨大な2社にとって必要なのは、長くは生き残れない可能性のある弱小2社ではなく、1社の強い競争相手だ。
【社説】スプリント合併阻止、5G競争を阻害
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