緩和効果が出尽くした今、残された手段は最低平均賃金上昇率の設定か。写真は日銀本店前 Photo:REUTERS/AFLO

 海外経済の失速を背景に日本経済が景気後退に向かう可能性が高まっている。ところが、日本の金融政策は2013年以来の超金融緩和の効果が出尽くし、次期景気後退期に打つ手がない。

 日銀としては「万策尽きている」とは言えないだろうが、金融政策としてできることはほぼやり尽くしている。そのため財政政策に目が向き、10月の消費税引き上げ延期も議論される状況になっている。

 一方、米国ではゼロ金利と量的金融緩和終了後、米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート調整は途上であるものの、政策金利は2.25~2.50%まで上げることができたので、金利引き下げという伝統的な金融政策の発動余地がある。

 日本はどうしたら良いのか。その原因と私の考える最終的な処方箋を説明しよう。

ゼロ金利の壁と金融政策の限界

 こうした日米の違いをもたらしたものは、もちろん趨(すう)勢的なインフレ率の相違だ。そもそも金融政策にできることは景気変動の平準化であり、その効果が働くためには趨勢的なプラスのインフレ率(一般に消費者物価指数で前年比2%程度)が必要だ。

 「実質金利=名目金利-期待インフレ率」であり、経済に対する金融政策の効果は実質金利の変化で生じる。趨勢的な期待インフレ率が2%の場合、金融緩和で短期名目金利を1%まで下げれば実質金利はマイナス1%となり、借り入れを増やして消費や設備投資を増やす刺激となる。逆に景気の過熱が懸念される時は、名目金利を上げれば実質金利が上昇し、消費や設備投資意欲は抑制される。

 ところが、ゼロインフレやデフレでは、通常名目金利はゼロを下回って大きくマイナスにはできないので、実質金利を十分に下げることができない。これが伝統的な金融政策の限界となっているわけだ。

投資に役立つ深堀り情報満載 政策・マーケットラボ