自宅で資産形成すれば
「老後資産2000万円」はつくれる
金融庁の金融審議会が出したレポートの余波が国会で論争になっている。「高齢社会における資産形成・管理」と題された報告書には、高齢者の実態が赤裸々に描かれている。高齢夫婦無職世帯の家計は毎月5.5万円の赤字で、余命35年・420ヵ月で2000万円不足するとされている。これを平均貯蓄額約2500万円でカバーするというものだが、心もとないので、資産運用が必要であるというのが骨子となっている。
しかし、この標準的な世帯での住居費は1.4万円弱に過ぎない。これは全国的に、高齢者の持ち家率が8割以上と高く、その持ち家はほとんどが戸建てになることから、これほど安い住居費になる。それに対してマンションは、管理費と修繕積立金で月2万円は下らないし、ローン返済が残っていたらその返済額も入れて考えないといけない。これは65歳時点の話なので、35年ローンを組むなら30歳で購入しておかないといけないということになる。
そう考えて中身を見ると、この調査報告書は現役の高齢者を対象にして書かれたことになる。今後の持ち家率は今ほど高くならず、6~7割に落ちることになりそうだ。生涯未婚率は男性3割、女性2割が確実視され、少子化傾向とマンション価格の高騰で持ち家率は低下し、離婚率の高さも持ち家率を押し下げる要因になっている。持ち家ならまだしも賃貸となると、家賃だけでプラス5万円はかかることになり、金融審議会のレポートで言及された2000万円に追加で2000万円、合計4000万円の資金不足ということになる。
こうした状況には対策がある。自宅マンションで資産形成することだ。スタイルアクトが運営する「住まいサーフィン」には24万人の会員が参加しているが、自宅の購入者は毎年、価格査定を行うことを推奨している。