ブラジルPhoto:PIXTA

 2000年代以降のブラジル経済は、その広大な土地と豊富な人口を背景に、年によって成長率にバラつきはみられたものの、比較的堅調な景気拡大を続けた。そのことも追い風に、新興国の雄である「BRICS」の一角として存在感を高めた。

 いわゆる「リーマンショック」をきっかけとする世界金融危機時は、09年の経済成長率がマイナス0.1%とマイナス成長に陥るなどその影響は免れなかったものの、翌10年の経済成長率はプラス7.5%となり、BRICSのなかで中国、インドに次ぐ水準を維持した。ロシアや南アフリカの置いてきぼり感が増すなかで「三男坊」的な役割を担うことが期待された。

 しかし、その後のブラジルの経済成長率は「右肩下がり」の展開が続いて、15年から16年にかけては2年連続でマイナス成長となるなど、「100年ぶり」と称される景気悪化に直面した。足下の景気は最悪期を過ぎているものの、昨年の成長率はプラス1.1%と2年連続でほぼ横這いの推移となるなど力強さを欠く展開が続き、かつての輝きは失われている。一方、国際金融市場においてはブラジルが再び輝きを取り戻せるか否かに注目が集まっており、ブラジル経済は大きな転機を迎えている。