「頭取ランキング」特集から4年
銀行の余命はさらに短くなった
銀行の絶対権力者である頭取の実力を丸裸にする――。そんなことを考えて「頭取ランキング」という特集をダイヤモンド編集部が組んだのは、2015年9月のことだった。
当時、その特集を組んだ理由について、われわれは次のような問題意識を書きつづっている。少し長いが引用させていただきたい。
「『自分が頭取の間に銀行がつぶれるわけじゃないのだから、誰も面倒なことはしたがらない』――。銀行取材の現場で頭取に対する諦めの言葉を聞く回数が自然と増えてきた。そんな“逃げ切り頭取”にくぎを刺し、あえて火中のクリを拾う頭取をもり立てられないか。今回独自に作成した『頭取ランキング』はそんな使命を帯びている」
そんな特集から4年弱がたった今、金融当局や銀行関係者から聞こえてくる話は当時よりも深刻なものになっている。
「地方銀行の頭取と話していると、経営が危機的状況にあることはぼんやりとは分かっている。しかし、重度ではあるが“慢性疾患”なので、自分の在任期間中は大丈夫だと思っている」。あるメガバンクの幹部は、そう明かした。そして、こう続けた。
「しかし、金融庁や日銀(日本銀行)は、そうは思っていない。彼らが考える地銀の“余命”はもっと短い。その危機感の強さが地銀の頭取には届いていない」
問題を先送りしたツケは今、確実に銀行の経営をむしばんでいる。直ちに経営破綻に陥る可能性は低いが、収益力が劇的に低下してきているのだ。そして、それは近い将来に財務の健全性にも影響を及ぼす姿がリアルにイメージできるほど追い込まれている。
今回ダイヤモンド編集部では、赤字体質や超低収益体質から抜け出せないにもかかわらず、すぐに経営破綻に陥るわけではないので市場にとどまり続ける銀行を「ゾンビ銀行」と捉えて、全8回の特集を通してその絶体絶命ぶりを克明に報じていく。