そのために、フェイスブックで介護職員を募ったところ「大きな反響があった」と嬉しそうに話す。ドイツでも、介護現場での人手不足は以前から大きな問題となっている。だがICTを駆使することで、雇用確保ができそうだと胸を張る。
 
 人手不足の解消を目指してドイツでは移民政策をとっており、ここでも例外ではない。プッシュさんは本業で自動車部品の製造工場をすぐ近くで経営しており、ユーゴスラビアとハンガリーから労働者が来ている。その妻たちがこのWGで介護職員として働いていると。

 これだけ話題になり知名度が上がっていることもあってか、満室が続いているという。その入居料は、まず家賃が350~550ユーロ。食費と管理費が325ユーロ、介護サービス費が800ユーロとなり、合計で1475~1675ユーロ。1ユーロを125円として日本円にすると18万4000円から21万円となる。

アルパカを放牧場に連れ出すスタッフ視察者たちの目の前で、アルパカを放牧場に連れ出すスタッフ

 ドイツ西部のこの辺り、ノルトライン・ヴェストファーレン州は富裕層が多く、月25万円以上の自己資金を投入しないと介護施設に入居するのは難しいといわれる。そんな介護施設と比較すると、このWGは入居しやすい。

 WGの Wohnは「住まい」、Gemeinschaftは「共同」「共同体」なので、直訳すると「住居共同体」となる。個室で生活する入居者は、キッチンやトイレや風呂を共用する。「シェアハウス」とも訳されるが、日本での「シェアハウス」は複数の若者が同様の方式で、一軒家で生活すること。住人が高齢者だと「グループリビング」となり、自立者が多い。

 ドイツのWGは年齢に関係ない。多世代をアピールする事例も増えている。

 要介護者が入居するWGは、日本の制度では、「住宅型有料老人ホーム」に該当する。建物内にケアサービス提供者が常駐せず、外部から迎えるためだ。

「サービス付き高齢者向け住宅」も同様のケア方式をとるが、部屋面積が18平米以上という基準がある点でやや異なる。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)