世界で活躍するシリアルイノベーター、濱口秀司さんの論文集『SHIFT:イノベーションの作法』を、みなさんはどのように読んでくださったのか。濱口さんをよく知る、これまた多士済々に感想を伺って、リレー方式でご紹介していきます。この論文集をこれから読む方にも、すでに読んだ方にも、この論文集の活用法や、効果を最大化する方法のヒントになるかもしれません!
今回は、人の心や知能とは何かを追究する、アンドロイド研究の第一人者である、大阪大学教授の石黒浩先生。濱口秀司さんとはよく意見交換をする間柄で、共通点も多く「幼なじみ」みたいな感じとか。です。石黒先生が、「濱ちゃん」初の論文集に抱いた感想とは??

大阪大学教授 石黒 浩先生
近著に『ロボットとは何か 人の心を映す鏡』(講談社現代新書)

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濱ちゃんとは、マインドセットが似てるところがあるし、気も合うので、事あるごとに会って話をしてます。僕はアカデミア、彼はビジネスと、専門分野こそ違いますが、人間の本質を一歩翻って深くて広い視点から見る、という点で、考え方は似ている。ただ、人間社会を内側から見ようとする僕と、人間社会を少し引いたところで俯瞰する濱ちゃんとで、タイプは違いますけどね。

素直に考え、既成の枠にとらわれない彼の発想法は、「頭が良い小学生」の頭の中みたい。それを専門用語でつづられているので、あの論文集は説得力がありますが、後付けの勉強では繰り出せない内容です。これを言うと濱ちゃんに怒られるかもしれないけど、「既成概念によるバイアスを構造化し、強制発想してSHIFTする」と言われても、普通は絶対に真似できません。どちらの方向に、どのぐらいSHIFTさせればいいか、トレーニングしてできるようになるものでもない。みんなができたら、彼の仕事はなくなるはずです(笑)。

だから、あの論文集を真面目に読んでも欲しいものは得られない。自分ならどう解決するか想像したり、自分でも思考パターンが見えているか確かめるために使うのがいいと思います。(談)