文大統領は、韓国企業に被害が及ぶ場合には必要な対応を取らざるを得ないと述べている。しかし、文大統領はこれまで政府の無策や道徳性を批判されることを嫌い、マスコミや司法当局を締め付けてきたような人物だ。そもそも、日本の報復措置が発動されると指摘されて久しいにもかかわらず、無為無策でここまできた。今、打てる手があれば、今ごろそれを発表しているはずだろう。

手詰まりの韓国
日本への報復は「火に油」

 韓国には、貿易面で日本に報復し、効果を期待できる方策は少ない。半導体の日本向け輸出を止めるとしても、韓国の半導体の輸出先は8割が中国、日本は1割だ。しかも、サムスンの連結営業利益は4~6月期で対前年度比56%減少した。大口顧客向けに価格を大幅に引き下げたのが原因といわれる。その上、製品在庫は通常の3倍の3ヵ月分に膨らんでいる。こうした状況を見ても、韓国が半導体の輸出を止めることは難しい。韓国の得意な欧米向けハイエンドテレビの液晶パネルも、第三国で代替可能な製品が多い。

 日本の自動車関連の輸入を差し止めるという策も考えられるが、これは火に油を注ぐことになるだろう。日本が韓国を「ホワイト国」指定から外すという追加措置が待ち受けており、貿易戦争が激化するだけだ。「外交的解決に向けても努力していく」と述べたのはこのためであろう。

 韓国の経済は、日本の明治維新をモデルとして発展してきた。今般の日本の輸出管理措置は、韓国製造業がいかに発展したとはいえ、構造上日本に多くの面で依存していることを露呈した。韓国財界は、これ以上日本との経済関係を悪化させたくない、というのが偽らざる本音なのではないだろうか。

日本に対する無策な文政権に
国民感情は反発も

 文政権は、日本が輸出管理を個別審査に変えたことを、対抗策で止める手段がなかなか見当たらない。

 韓国では、中小商人自営業者総連合会が、日本製品の販売を中止すると発表した。日本製品不買運動、日本への旅行自粛運動の影響も出始めている。韓国の一般国民は冷静であっても、国民感情を刺激しようとする一部の人々の動きがあり、彼ら・彼女らは止められない。感情的な反発の連鎖につながる恐れがある。

 そのため、日本政府は韓国の国民感情をいたずらに刺激しない方が得策である。輸出管理措置として、これら3品目の許可制を導入したことは、北朝鮮の脅威という安全保障上の観点が絡むため、やむを得ない。ただ、日本政府は導入に当たり、文大統領がG20で安倍総理との会談もできずに帰国した2日後に突如公表した。韓国国民はこれを「後ろからいきなり殴られた」と解釈し、日本への国民的反発を強めることが懸念される。