また、状況証拠的に見ても、文在寅政権は金正恩委員長の機嫌を損なわないよう、北朝鮮の嫌がることは何もしたがらない。北朝鮮に戦略物資が送られたとしても、これを差し止めるだろうかとの疑念を持つことは決して不自然ではない。

 それだからこそ、であろうが、韓国は日本の一部で北朝鮮との関係を疑っているとの報道を受け、日本を痛烈に批判している。韓国政府は、「最近日本から輸入したフッ化水素が北朝鮮に流出したといういかなる証拠も見つかっていない」と指摘。また、朝鮮日報も「露骨に北朝鮮と関連づけようとしている」「日本は隣国に対する経済報復を合理化しようとフェイクニュースまで動員する国に成り下がったのか」と報じている。

 しかし、こうした不適切事例が北朝鮮にこれらの物品が輸出されたものではないとするならば、韓国政府自身がこの事例について、どの企業が関与して不正輸出されたものか、その最終目的地はどこかを調査して、公表すべきである。

 こうしたフォローアップを行っているのかどうかは、公表された資料からは明らかになっていないが、日本を批判するのであれば、しっかりとした根拠を示して批判すべきである。もしフォローアップを行っていないのであれば、韓国の物品管理がいかにいい加減か、あきれ返るばかりである。

 今のような状況で、韓国が日本に引き続き包括許可を求めることなどできない。

 韓国の野党「正しい未来党」の議員は、日本安全保障貿易情報センターの調査の結果明らかになったとして、1996~2003年の間に日本から北朝鮮に30件以上の不正輸出が摘発され、これには核開発や生物・化学兵器関連の物質も含まれると指摘している。

 しかし、韓国と日本の不適切事例の根本的な違いは、日本は輸出される前に摘発しているのに対し、韓国は輸出された後に摘発したに過ぎないことである。その違いを考えもしないで日本を韓国と同列に扱ってほしくないものである。

言い訳を続けている限り
問題の解決はない

 日本政府は韓国と協議し、この措置を撤回することは考えていない。しかし、韓国政府は、この問題の韓国経済への影響を最小限にとどめるためには、この問題と正面から向き合う以外にない。

 それには文大統領の決断が鍵になり、経済官庁にできることではない。文大統領は10日になって財界トップと会談したが、1人3分の発言時間では財界の抱える困難は理解できないだろう。それは、あくまでもこの問題に取り組んでいるという、国内向けの宣伝に過ぎない。