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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 カジュアル衣料品店「ユニクロ」を傘下に持つ日本のアパレル大手ファーストリテイリングは、中国の消費者向け販売を急速に伸ばしている。しかし、同社を支えているものがもう一つある。それは日本銀行だ。

 日本の長者番付トップの柳井正氏が創設したファーストリテイリングは11日、第3四半期(3~5月期)決算を発表、営業利益が前年同期比9.3%増加したことを明らかにした。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、この業績はアナリストらの予想を若干下回っていたが、同社の世界的事業拡大戦略は引き続き順調のようだ。現在では、同社の売上高の80%以上を占めるユニクロの営業利益の半分以上は、海外市場で稼ぎ出されている。ユニクロの国内事業の営業利益は7.5%減少したが、国際事業の同利益は15%増加した。

 ユニクロは米国と欧州で知名度向上に力を入れており、昨年にはテニス界のスターであるロジャー・フェデラー氏と3億ドル(約325億円)のスポンサー契約を結んだ。しかし、同社の業績の最大の柱は依然として中国だ。中国事業の利益は20%以上増加した。ユニクロは手ごろな価格と高い品質が評価され、中国の消費者の間で人気だ。中国本土では昨年8月以降に54店舗を新規開店し、同地の総店舗数を687とした。次の会計年度中には、中国本土と香港、台湾で計93店舗を新たに開設する計画だ。

 中国と東南アジアにおけるファーストリテイリングの見通しは明るく見えるが、同社株は既に多くの楽観的見方を織り込んでいる。日本の株式市場全体は2017年末以降13%の落ち込みとなっている一方で、同社株は51%上昇している。一方、同社株は現在38倍の予想株価収益率(PER)で取引されており、「ザラ」を展開するスペインのインディテックスやスウェーデンのH&Mといった競合他社を上回っている。両社はともに21倍程度で取引されている。

 しかし、ファーストリテイリング株が割高にとどまるかもしれない状況には理由がある。日銀の存在だ。日銀は非伝統的な金融政策の一環として、上場投資信託(ETF)を購入しており、その中には日経平均株価に連動するものも含まれる。ファーストリテイリングは日経平均への寄与度が群を抜いて最大の11.5%近くとなっている。日経平均は、ダウ工業株30種平均と同様、株価平均型の指数だ。この特徴により、同社株が日経平均連動型ETFに占める比率は過度に大きくなる。例えば、時価総額加重平均型指数である東証株価指数に対するファーストリテイリングの影響度は、わずか0.4%にとどまる。

 日銀はその結果、ETFの買い入れを通じてファーストリテイリング株の20%弱を間接的に保有していると、アナリスト分析情報サイト「スマートカルマ」を運営する独立系アナリスト、トラビス・ランディー氏は推計する。ランディー氏によると、ファーストリテイリングの株価と日経平均が現在とほぼ同様の水準を維持し、日銀のETF買い入れペースに変化がないと仮定すると、日銀は今後12カ月間に同社の全発行済み株式の1.5%程度をさらに買い付けると予想されている。柳井氏ら創業一族の持ち株比率が47%であることやパッシブ運用によるその他の保有を考慮すると、(日銀の)そうした買い付けは浮動株の中で大きな比率を占めるものになる。

 ファーストリテイリングの株価はあまりにも急速に高騰した可能性がある。しかし、日銀といった友人の存在を考えると、上昇した株価が確実に急落するとは言い切れない。

(The Wall Street Journal/Jacky Wong)