真剣な態度での
協議に向けた環境整備

 8月2日の閣議決定の後、政令改正を経て日本は韓国をホワイト国から除外した。その結果、理論上は最大1000品目程度の輸出に影響が出る可能性がある。どこまで厳格に輸出管理手続きを運営するかは、政府の判断に左右される。

 当面、韓国の世論は日本の輸出管理手続き見直しを批判し、反日感情が鎮まることは考えづらい。この状況は、最低賃金引き上げ公約の撤回や北朝鮮との融和政策の行き詰まりによってレームダック化した文大統領に好都合だ。すでに同氏は、反日姿勢を明確にとることによって支持率を回復させている。

 日本は、自らの取り組みによって韓国が真剣にわが国との協議に臨む状況を目指すべきだ。その際に重要なことは、韓国の反日感情を、「丁寧な姿勢」で放っておくことだ。

 言いたいことは、勝手に言わせておく。状況が悪化するに伴い、韓国はどこかで姿勢を軟化せざるを得なくなる可能性がある。政府はそれを待つ。

 その間に、日本は韓国内外の理解者を増やすことに力を注ぐのである。すでに韓国のベテラン議員の中からは、国内の反日感情をいさめる声が出始めた。また、韓国の経済界では、反日姿勢を鮮明化する文政権への懸念が強まっている。政府は韓国議員団の来日などを活用して、少しでもわが国の方針への理解が得られるように説明する。その上で韓国の出方を見極め、輸出管理手続きの運営方法を考えればよい。

 また、WTO一般理事会の出席国からは、日韓の問題は2国間で対処すべきとの指摘が出ているようだ。これは、日本には追い風となり得る。政府は韓国の批判を丁寧かつ冷静な姿勢で聞き流し、国際世論を味方につけることに注力すべきだ。それが、韓国が真摯(しんし)な姿勢で協議に臨む環境整備につながるだろう。

 間違っても、日本は韓国のように感情的になったり、批判をしかえしたりしてはならない。それは、韓国の反日感情をあおり、来年4月の総選挙を控える文大統領を勢いづかせることになる恐れがある。そうならないよう、日本は客観的かつ明快な論理をもって韓国に接し、多くの理解を得るよう“大人の対応”に徹するべきである

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)