米中貿易摩擦、トランプ氏に中西部の苦情届くかPhoto:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米中西部は中国との追加関税合戦にうんざりしている。

 ここ数日、米株式市場で工業や農業、石油、輸送企業の株価が急落している。株安は企業の売上高や従業員の生活に対する脅威を反映するものだ。企業トップが声を上げつつあるが、ドナルド・トランプ大統領は聞き入れざるを得なくなるかもしれない。

 商用車・ディーゼルエンジン大手のナビスター・インターナショナルは7月31日以降これまでに株価が12%超下落している。トランプ氏は今月1日、ツイッターで貿易問題を巡る圧力を高めた。鉄道大手CSXや産業大手ゼネラル・エレクトリック(GE)は同期間に約7.5%下げ、石油掘削会社のパイオニア・ナチュラル・リソーシズは12%下落した。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物も6%余り値下がりした。

 農業関連は大きな打撃を被っている部門の一つで、企業トップはいら立ちを募らせている。全米農業連盟(AFBF)のジッピー・ドュバル会長は、「中国が米国からの農産物購入を停止すると発表したのは、すでに生活が苦しい何千という農家や農場経営者に打撃となる」と指摘。「迅速に合意に達するよう、交渉担当者が一層尽力することを強く求める」と述べた。

 国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン前委員長は先週、BBCニュースとのインタビューで、関税が農業と設備投資に劇的な影響を及ぼしていると語った。農産物加工・販売大手アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の最高財務責任者(CFO)は先月、貿易戦争が長期的な貿易パターンを変化させる可能性があるとの見方を示していた。

 企業決算も圧迫されている。ファクトセットによると、企業が発表済みの決算および見通しと、未発表企業の決算予想を合わせた推計から、工業部門を含めた7部門で4-6月期(第2四半期)の利益が前年同期から減少したことが明らかになった。これらの部門は売上高が全く伸びていない。

 米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げは景気と企業利益への痛みを幾分和らげるかもしれない。トランプ政権は一段と緊張を高めた上で、合意が間近だと示唆するパターンを繰り返す可能性もある。一方、中国政府は「2度あることは3度ある」と用心し、2020年大統領選が近づく中で粘りきる構えかもしれない。

  中国経済は急減速しているが、有権者の心配をしなければならない指導者はトランプ氏だ。コーンベルトやラストベルト(さびついた工業地帯)の激戦州では、労働者たちが2016年大統領選でトランプ氏を勝利に導く得票差に貢献した。金融資産をより多く持つアッパーミドルクラスの投票者もだ。だが彼らは確定拠出年金(401k)がしぼんでいくのを目にしている。有権者の叫びは瞬く間に大きく響き出すかもしれない。

(The Wall Street Journal/Lauren Silva Laughlin)