電話の用件というのはえてして出先で急に発生するもの。自宅からならIP電話で安く通話できるという人も、SkypeやLINE( 以前に小欄でも紹介)でいつも友達と無料でだべっているという人も、急な用件なら携帯でかけるしかなく、それが度重なれば通話料もばかにならない。
携帯電話の欠点は、固定電話や他社携帯電話にかける際の通話料の高さだ。一般的な料金プランなら各社とも1分あたり20~40円もかかってしまう。いっぽう一般加入電話やIP電話なら、固定電話どうしで3分間8円程度、携帯電話への発信でも1分あたり16~17円程度で済むのだから、その差は歴然だ。
だったら外でもIP電話を使えないの?――というニーズが生じるのも、パケット定額サービスやWiMAXなどのモバイル通信環境が整っているところに、スマホがこれだけ普及したことを考えれば当然のこと。スマホ元年と呼ばれる2011年の春~夏には、各社からスマートフォンIP電話サービスがいっせいに打ち出された。それから1年を経て登場したのが、楽天グループの通信事業会社フュージョン・コミュニケーションズによる「FUSION IP-Phone SMART」(以下、FUSIONと略)だ。この新星、はたして安さや使い勝手はいかほどのものか?
スマートフォンIP電話サービスは、3G回線によるインターネット接続サービスとセットになったものと、音声通話に特化したサービスに大別される。前者の代表が「R-sky」や「エスモビ」で、後者の代表は「モバイルIPフォン」や「050 plus」だ。パケット定額も含めて月々の携帯料金を抑えたい人には前者が向いており、通話料のみを抑えたい人やWi-Fiのみの通信環境で使いたいという人には後者が適している。ちなみに「FUSION」は後者のタイプだ。
既存のスマホ環境に手軽に導入できるのは後者の音声通話特化タイプなので、本稿ではそちらにしぼって話を進めたい。なお、「モバイルIPフォン」は専用端末が必要なので、これも除外する。となると選択肢は、「050 plus」か「FUSION」かということになる。