役所は「出る杭は打たれる組織」である。民間企業は社員一人一人が個人としての能力を発揮できる環境を整えたり、モチベーションを高めることで業績を伸ばす方向に動いている。一方で、役所は前時代的なマネジメントから脱却できておらず、役所組織の都合を職員に強いる。組織が個の力を活用することで生き残ってゆく時代には、役所も職員が持つ個の力を引き出していくことが求められている。なぜなら、それが組織の目的を果たすための大きな力になるからだ。
本稿では、自治体、公務員に取材を重ねている筆者が、「公務員による公務員バッシング」という不毛な仕組みを解き明かす。公務員はなぜ公務員を攻撃し、組織が停滞する状況を生み出してしまうのだろうか。
バッシングを嫌がる公務員が、同僚をバッシングする
「公務員による公務員バッシング」の存在は、民間人にとってあまり聞きなれないかもしれない。しかし、役所組織で働く者にはリアリティがあるはずだ。
「公務員による公務員バッシング」とは、簡単にいうと同僚を安易に叩く言動のことだ。具体的な例では、休日に役所の外で市民と地域活動する人について「意識高い系」だと陰ではやし立てたり、メディアから取材された同僚を目立ちたがり屋だと揶揄したりする。さらに、「あいつは役所を辞めるつもり」だとか、「次の選挙に出ようとしている」などと勝手な推測で足を引っ張る。