重要なのは、目指す事業について市場ニーズや変化にいかに対応、改善していくかだ。GAFAが現在の地位にあるのは、市場・社会の変化、当局の規制に柔軟に対応し、その投資を惜しまなかったからだ。

キャンペーンで盛り上がっただけのQRコード決済

 中国都市部で進むキャッシュレス文化、QRコード決済に追従すべく「○○Pay」の濫立も注意が必要だ。国内では、2018年のPayPay参入と年末の100億円キャッシュバックキャンペーンのインパクトが強く、金融機関や流通大手がこぞって参入している。背景には、インバウンドビジネス活性化のため、カード決済やQRコード決済へのニーズの高まりと、2019年導入予定の消費増税に連動するポイント還元のインフラとしての期待もある。

 後者は、リーダーの設置や手数料を嫌う小売店にとって、QRコードを張り出すだけでいいQRコード決済は導入ハードルが低い。全国津々浦々展開しなければならない、消費税還元ポイントのインフラとして利用価値が高い。政府金融庁などの後押しもあり、○○Payにあらずば決済にあらずとばかりに、多数のサービスがローンチされた。

 しかし、戦略のない拙速な事業は、躓くリスクも高い。セブン・ペイがさっそく不正利用の被害にあい、国内QRコード決済市場そのものが揺らいでいる。しっかり作られたQRコード決済も存在するが、大手の失敗の影響は小さくない。もともと日本にはフェリカという基盤を使った交通系カードが普及しており、今以上のキャッシュレス決済のニーズがあるわけではない。PayPayのキャッシュバック目当てに大量のユーザーが踊らされたため、なにかとんでもないトレンドのように見えただけともいえる。

 政府はキャッシュレスを推進したいなら、小売店のカード決済手数料の補助をしたほうがよっぽど効果的だ。そして、どうしてもGAFAに対抗したいのなら、それぞれのビジネスモデルとそれを可能にしている背景技術についてもっと勉強する必要がある。

(ITジャーナリスト・ライター 中尾真二)