WSJ発 米中関税合戦、保護主義に傾斜する世界を象徴
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 ドナルド・トランプ米大統領は貿易戦争を幾つかの方面で仕掛けるなかで、高い貿易障壁が経済生活の日常だった時代に時計の針を逆戻りさせているかのように見える。

 世界は保護主義に向かっており、10年来のこの流れに鈍化の兆しはない。米中の報復的な関税合戦はその象徴だ。

 トランプ政権の一部当局者は関税について、各国に圧力をかけ、より良い条件で通商合意を勝ち取るための短期的な手段として位置づけている。だが多くのエコノミストは、そうした手段のまん延が米国および世界の経済成長を妨げていると話す。

 ドイツ銀行とUBSグループの分析によると、鉄鋼や太陽光パネルから繊維に至る産品にトランプ氏が課す関税は、米国の輸入関税の平均を4%強に押し上げてきた。

 この数字は、トランプ氏の視野にある国々の一部よりかなり高い。欧州連合(EU)の輸入関税は平均1.8%前後(世界銀行)。カナダは1.5%だ。

 しかし、トランプ氏の貿易紛争で最大の敵である中国は輸入品に平均4.6%の関税を課しているとドイツ銀行は推計している。

 米国の輸入関税の平均が現行水準に近かったのは直近では1970年代だ(世銀統計)。