米国では2020年11月3日に大統領選が予定されているが、それまで1年超の時間が残されている。野党民主党では候補者選びも終わっておらず、共和党、民主党どちらの候補が勝利する可能性が高いかを議論するのは難しいが、市場では米次期大統領選が意識され始めている。そこで本稿では、現時点で入手可能な情報をもとに、米次期大統領選が為替市場に与える影響に関するシナリオ分析を試みた。
トランプ再選可否のポイント
世論調査はトランプ劣勢を示唆
現在までの世論調査は、現職トランプ大統領の劣勢を示している。トランプ大統領の支持率は、2018年以降、おおむね40%台前半で推移しているが、不支持率が50%を上回る状況は2017年央以降続いている。このため、積極的な民主党支持者が増えなかったとしても、トランプ大統領に対する不支持票が、民主党候補に流れやすいと考えられる。
1980年以降の大統領選を見ても、不支持率が50%を超えていたカーター氏、ブッシュ氏(父)は、ともに再選を果たすことができなかった。今後、トランプ大統領の再選可否を占う上では、不支持率への注目度が高まるだろう。民主党の大統領選候補者それぞれと、トランプ大統領の一騎打ちの世論調査をみると、中道派のバイデン候補がトランプ大統領に対するリードが最も大きく、左派のサンダース候補やウォーレン候補らも、トランプ大統領より支持率が高い状況が続いている。
再選との関係は不明確だが
トランプにとって株価は大事
歴代大統領1期目の米株価のパフォーマンスと大統領再選の関係は不明確で、米株価上昇率が任期中に20%にも達しなかったカーター氏は再選されなかったが、上昇率が50%超となったブッシュ氏(父)も再選されなかった。また、20%台の比較的低い株価上昇率でもレーガン氏は再選された。ただし、トランプ大統領の支持率/不支持率はある程度米株価と連動しており、最近では米株価の下落と共に支持率の低下と不支持率の上昇が見られている。再選を目指すトランプ大統領としては、米株価の押し上げにより支持率を引き上げ、不支持率を引き下げたいと考えているとみられる。