筆者はがらくたの収集家であることに誇りを持っている。集めた品々のほとんどは旅先から持ち帰った思い出の品で、ムール貝の形をしたビクトリア朝風の銀製のマッチ入れもその一つだ。婚約者と一緒にローマの骨董(こっとう)品店で大枚をはたいて手に入れた。その他のものも、それぞれ理由があって手元に置いている。自宅ではなるべくスマートフォンを使わないようにしている夫と筆者にとって、本やトランプが近くにあればスマホの誘惑に耐えやすい。それに旅先で手に入れたトランプは美しく、グラフィックアートのようだ。確かに筆者のがらくたの中にも、ときめきを感じるものはある。日本の片づけ専門家、近藤麻理恵氏はときめきを感じるものを取っておくように勧めている。近藤氏の著書「人生がときめく片づけの魔法」のおかげで世界各地の何百万という読者の多くがため込み癖に陥らずに済んだことは確かだが、筆者は常々、近藤氏の基準があまりに高く、かつ限定されていると思っていた。