この問題は、企業のビジネス活動に根深く存在するだけでなく、日本社会の隅々に浸透している社会現象といってもおかしくない。たとえば、わが家が入居しているマンションのロビーに、居住者を対象に営業をしているカフェがある。13年前に入居したとき、私はそのカフェに無線ルーターが設置されていないことに気づき、管理組合にその設置を要望した。しかし、その必要はないと一蹴された。

 昨年、ようやくこの店に無線ルーターが設置された。わずかな投資で住民の便宜を図れる提案の実現には、実に12年間の歳月がかかったのだ。意識のバージョンアップは意外と難しいことだと、改めて認識させられた。

 2012年、55歳の井上雅博ヤフー社長が退任し、そのポストを44歳の宮坂学・執行役員コンシューマ事業統括本部長に譲った。創業時から社長を務め、長年の増収増益を支えてきた井上氏の退任には、「唐突感」を指摘する声が結構あったそうだが、退任のニュースが発表されたときの井上氏の発言に、私はむしろ社長ポストの「選手交代」をしなければならなくなった原因を感じた。

 井上氏は、携帯電話がカバンの中に入れっぱなしで「発信専用」になっていることや、ソーシャルサービスなど最先端の通信サービスを活用し切れていないことを自ら明かした。その自己批判の勇気は大いに賞賛すべきだが、通信情報技術とサービスを提供する最先端企業を率いる統率者としては、やはり失格だと思わざるを得ない。

「7pay」廃止騒動でも見られた
インターネット的視点の欠如

 しかも、こうした問題は決して過去のものではない。今の日本社会にも企業にもよく見られ、依然として今日的な問題なのだ。

 今年7月1日にサービスを開始したばかりのセブン&アイ・ホールディングスの独自決済サービス「7pay」については、サービス開始の翌日にすでにユーザーから不正利用の報告が届いた。7月31日時点で、不正利用の被害額は3861万5473円、被害人数は808人という深刻な事態に陥った。さらに同社は、サービスの再開発と建て直しは困難と判断し、9月30日24時をもって7payサービスを「廃止」することを発表した。