英国はようやく、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)に関する決断に向けた軌道に乗ったようだ。ただ、残された時間は短い。議会が依然としてこう着状態にある中、ボリス・ジョンソン新首相はこの問題での決断を強いている。それが意味するのは、英国民が煮え切らない議員たちに指示を与えるための最善の手段は、議会を刷新するための選挙だということだ。
英国の政治は、ブレグジットをめぐる2016年の国民投票以降、ほぼマヒ状態となってきた。それは議会が主としてEU離脱を望まない議員によって構成されているからだ。テリーザ・メイ前首相は国民投票の結果に議会を合わせる機会を逸した。メイ氏やその他の諸政党が、英国が直面する最大の問題以外のあらゆる課題を争点として2017年の選挙を戦ったからだ。
この選挙が生み出したのは、どの政党も単独過半数の議席を確保していない状態、そしてブレグジットに関するバラバラな見方だった。ソフト・ブレグジット(穏健な離脱)や離脱撤回を望む議員らは、ジョンソン氏が10月31日の現行期限までに合意なき離脱に踏み切るのを「阻止」するため力を合わせている。 議会は4日、ブレグジットの再延期を求める法案を327対299で可決した 。同法案は、EUとの合意がない場合は、期限を3カ月延期するというものだ。
ジョンソン氏は即座に選挙の実施を求めた。ブレグジットが争点となる総選挙で有権者にこの問題を差し戻そうとするのは正しい。本稿執筆時点で選挙実施の時期は明らかになっていない(訳注:英下院は4日、10月15日に総選挙を前倒しする ジョンソン氏の提案を否決 )。ただ、今秋に行われることはほぼ確実のように思える。