10月末の英EU離脱を目前に、総選挙に向けて動く英議会。ジョンソン首相の「賭け」はどんな副作用をもたらすのかPhoto:AFP PHOTO / PRU

議会との対立を深めたジョンソン首相
ブレグジットを目前に解散総選挙か

 10月末の欧州連合(EU)離脱を目前に、英国は総選挙に突入する可能性が高まってきた。

 夏季休暇を経て再開された英下院は9月4日夜、EU離脱の交渉期限を来年1月末まで延期する法案を可決成立させたが、その対抗措置としてジョンソン首相が下院を解散する動議を提出したのである。

 解散総選挙となるためには、動議に対して下院総数の3分の2以上の賛成が必要になる。4日は否決されたものの、最大野党・労働党のコービン党首は下院の解散そのものには乗り気である。そのため女王がEU離脱延期法案を承認する予定の9日にも、下院の解散に関する動議は可決成立する可能性が高まってきた。

 事態が混乱する発端は、ジョンソン首相が8月末に9月9日の週からの議会の閉鎖を決めたことにあった。ジョンソン首相の就任当初からその可能性が囁かれてきたオプションであったが、EU離脱の方針をめぐって議会と対立が先鋭化したことを受けて、ジョンソン首相が「切り札」としてその選択をとうとう採ったわけだ。

 もともと9月から10月にかけて英議会は、主要政党の党大会のために休会となる予定であったため、10月末の期日までに離脱に関する議論を十分に行うことができるか、不透明な情勢であった。ジョンソン首相による議会の閉鎖でさらに日程は絞られ、もはや10月半ばに予定されているEU首脳会議(サミット)まで10日程度しか確保できなくなった。

 この反民主的なジョンソン首相の手法に対して、英議会は反発を強めた。最大野党・労働党のコービン党首を中心に、与党・保守党の反ジョンソン派などが結集し、首相の権限を制限しEU離脱の交渉期限を延期する動議を提出したわけだが、その対抗措置として首相は総選挙に踏み込む決断をしたわけだ。

 そもそもジョンソン首相が議会の閉鎖を決めた理由には、対立する議会に対する牽制もさることながら、交渉が膠着するEUに対する挑発もあった。10月末の強行離脱も辞さない構えを見せるジョンソン首相は、議会の機能を停止し、その確率が高まっているとEUに圧力をかけることで、再交渉への道を拓かせようとしたのである。