英保守党の分裂沸点に EU離脱巡る葛藤の歴史Photo:Reuters

 英国のデービッド・キャメロン元首相が欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の実施を呼び掛けたのには、欧州を巡る保守党内の分断を解消する意図もあった。

 それから3年の間に2人の首相が登場。憲法の危機まで持ち上がった揚げ句、保守党内の葛藤は沸点に達している。

 ボリス・ジョンソン首相は3日、英国のEU離脱(ブレグジット)を延期する法案を巡り、造反して支持に回った保守党議員21人の除名を決めた。何十年も前から党内でくすぶってきた政治的危機の分岐点となった瞬間だ。

 除名された議員には保守党の重鎮も多く、元財務相2人のほか、ウィンストン・チャーチル元英首相の孫にあたるニコラス・ソームズ氏も含まれている。これらの議員は次回の選挙で立候補しても党の公認は得られない。

 ブレグジットが争点となる解散総選挙の可能性が浮上する中、党除名の動きはEU離脱に全面的な支持を表明しない保守党議員の候補を追放する効果をもたらす。ジョンソン氏は合意の有無にかかわらず10月31日に離脱し、国民投票の結果を実現させなければならないと言明している。

 造反者たちは離脱条件の合意なしに最大の貿易相手であるEUとの関係を絶つことを回避するため、交渉にさらに多くの時間が必要だと主張している。

 テリーザ・メイ前首相は対立的な姿勢をほぼ避けて通り、保守党内でブレグジットに関し意見の異なる派閥をなだめようと試みた結果、党内で根強い反発が続くこととなった。ジョンソン氏はそれより断固とした行動に出ている。ジェームズ・クレバリー保守党幹事長は、野党に権力を渡す議員を除名するのは「昔からの慣例だ」と述べた。