車からマイクロプラスチックも排出
大気汚染対策、あるいは地球温暖化対策として、電気自動車(EV)は現時点で最も有効な対策のひとつといわれている。欧州のメーカーは、こぞってEVを筆頭にしたプラグインハイブリッド(PHEV)などの電動車両の開発推進を明らかにしている。ところが、ノン・エグゾースト・エミッション(NEE、排出ガス以外からの排出物)に関する研究・調査が進み、今後はEVにも逆風が吹きそうな風向きだ。
英国政府は7月、「クルマの排出ガス以外の汚染物質(NEE)対策が必要だ」という研究結果を明らかにした。ここでいうNEEとは、タイヤの摩耗、ブレーキパッドの摩耗、道路の損傷などから発生する微粒子を指している。こうした微粒子はマイクロプラスチック(一般的に直径5mm以下)と呼ばれ、海洋汚染の原因と指摘されている。
実は英国の環境・食料・農村地域省は2018年の段階で、マイクロプラスチックが海洋環境に与える影響について調査結果を発表。「タイヤと道路が摩耗に伴って発生するマイクロプラスチックが海洋に流れ込んでいる」と報告していた。雨で粉塵が川に流れ込み、海に到達する。海まで流れていったマイクロプラスチックの多くは、海底に沈殿していく、と推定されている。マイクロプラスチックの増加は、海洋の生態系に影響を与える恐れがある。壊れた生態系を元に戻すのは難しい。
NEEは、大気汚染の原因にもなる。英国政府の研究は「30年にはクルマから排出される微小粒子物質PM2.5は、全体の10%を占めるだろう」と指摘している。排出ガス規制強化による大気汚染の改善は認められているのだが……。