8月の米雇用統計は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測を変える材料とはならなかったようだ。FRBは依然として2週間後の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げる可能性が高い。成長減速の兆しを受け、米景気の下支えを図るとみられる。世界経済見通しの悪化や、企業の投資や雇用を冷え込ませかねない米中貿易戦争を巡る懸念は、7月の利下げ判断を後押しした。今月もそうなりそうだ。FRBにとって今回の雇用統計は、景気が目に見えて悪化していることを示す強い証拠とはなりそうにない。一方で、米経済には世界的な製造業減速と企業投資の落ち込みに対する耐性があるという「警戒解除」の合図ともなり得ない。このためFRBは9月の会合後も、年内に3度目の追加利下げを実施する可能性を排除することはなさそうだ。