マンション価格は落ちにくいが、戸建ては売れ残り、値が付かなくなりつつある。そうなる理由は明確だ。マンションは利便性の高い立地にしか建たないのに対して、戸建ては駅から徒歩20分でも建つため、そもそも立地が違うのだ。徒歩1分の面積と徒歩10分の面積の違いは10倍ではなく、100倍だ。立地の稀少性はケタ違いに違う。都市に住む人が望むは利便性であり、時間・距離が重要視されると考えた方がいい。

 この背景には、世帯構成の変化がある。1世帯当たりの人数は減少を数十年続けており、3世代居住から核家族化が起き、その後DINKSや単身世帯の増加は今も続いている。東京都の1世帯人員はすでに2人を切っており、単身世帯が中心になっている。

 こうなると、職住近接が強いニーズになる。その勤務先であるオフィスビルは都心3区(千代田区・中央区・港区)に50%以上が偏って存在している。その近くに住むなら、世田谷区がある城南ではなく、中央区以東の城東の方が時間的にかなり近い。こうして、世田谷区では駅の周りでさえ高層化されることがないのに対して、城東の駅周辺はオフィス、マンション、商業施設が林立し、通勤時間短縮に貢献するようになっている。

単身世帯のニーズに応えつつも
中央区隆盛はそろそろ終焉か

 2019年7月から、中央区は都市計画の変更を行った。主な変更内容は、住宅の容積率の緩和を廃止し、店舗、保育所、診療所、広場、ホテルには容積率を緩和するというものだ。

 目的ははっきりしている。人口は充分増加したので、現居住者の利便性を高め、都心立地なりの要請に応えるというものだ。これにより、人口増加のスピードは鈍化するだろう。そうなる前の最後の物件が晴海のオリンピック宿舎となるならば、かなり象徴的なトピックということになる。

 湾岸エリアで開発余地のある土地を持つ中央区だけに、残念で仕方ないが、中央区の人口動態と不動産価格の変化は注目に値する。この変更が中央区隆盛の終焉になるかもしれないとしても、だ。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)