カール・チャウ氏は先頃、数カ月にわたり香港を混乱に陥れている大規模な民主化デモに加わろうとしていた。法律を破る気はなかったが、わざわざマスクで顔を常時覆い、身元が割れないよう注意した。「至るところにカメラが設置されており、隣に立っている人が誰なのかも分からない」。20代前半の映画専攻の学生であるチャウ氏はこう説明する。香港の若者らは目下、デモに参加したという事実が一生つきまとうのではないかと警戒している。香港当局が許可していないデモ行進に参加したり、警官隊と衝突したりすれば、逮捕される危険があるためだ。香港警察による逮捕者はこれまで約1450人に上る。彼らの不安をかき立てているのは、本土当局が身元に関する電子情報を収集し、将来的に抗議活動への参加を理由にデモ参加者を不利に扱うのではないかといった懸念だ。こうしたことが実際に行われていることを示す証拠はほとんどないが、中国は顔認証など先端ハイテク技術を駆使して、世界でも有数の強力な監視国家となっているとデモ隊は指摘する。
香港デモ隊に広がる監視の恐怖、「身元隠し」で団結
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