米国自身も、日本の財務省の昨年5月5日の発表では、対外純債務が885兆円にも及ぶ世界最大の債務国になった。経済での弱者が頼る「保護貿易」に向かわざるを得ない。

 ボルトン氏はその変化に目を閉じ、唯我独尊の対外政策を、トランプ大統領に勧め、米国は孤立を深める結果となった。

「イラン核合意」の破棄にはどの国も追随せず、米国が提唱した、海上のイラン包囲網「センチネル作戦」に参加する国は少ない。形だけ参加してもホルムズ海峡周辺で自国のタンカーを護衛するだけで、イラン攻撃に加担する気配はない。

 ボルトン氏は、米軍12万人を対イラン攻撃に投入することを主張したが、トランプ政権の他の幹部は同意しなかった。

 トランプ政権は昨年5月14日、在イスラエル米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転したが、その後1年以上たっても、米国に追随して大使館を移したのはグアテマラ1国だけだ。

 1967年の第3次中東戦争でイスラエル軍は東エルサレムを占領、国連安保理がイスラエル軍の占領地からの撤退を決議したのに従わず、エルサレムを首都と宣言した。

 だから他国は大使館をテルアビブに置いていたのだが、米国はエルサレムへの大使館移転を強行、国際社会の反発を受けた。

 まともな安全保障担当の大統領補佐官なら、「そういうことをすれば米国は孤立し、指導力を失います」と諫言すべきだが、ボルトン氏は逆にトランプ氏をあおり立てた。

リビア方式で核全面廃棄を求め
米朝首脳会談決裂の原因に

 北朝鮮との交渉でも、ボルトン氏は「オール・オア・ナッシング」を唱え、北朝鮮が完全に核放棄をするまで経済制裁を強化して追い詰めるよう主張した。

 今年2月27・28日、ハノイでの2度目のトランプ・金正恩会談が決裂に終わったのは、北朝鮮が段階的に核放棄を行い、それに応じて米側が経済制裁を徐々に進めるよう求めたのに対し、米国側はボルトン氏の論に沿って、「まず全面核放棄をせよ」との立場を譲らなかったため、とされる。