米トランプ政権は中国に圧力をかけて、貿易慣行を変えさせる方法を模索している。だがその道すがら、米国に打撃を与えるとはいかがなものか? この自爆行為のような瞬間は、27日に訪れた。ホワイトハウスが米中2国間の投資を制限する可能性があるとのうわさが広がったのだ。ブルームバーグ通信は、米証券取引所に上場しているアリババなど中国企業について、トランプ政権が株の上場を廃止する可能性もあると報じた。上昇していた株価が下落に転じたのも、驚きではない。2国間投資の全面的禁止は、米国に打撃を与える良い方法である一方で、中国の改革の実現性を低くする。中国企業の上場廃止は、とりわけ愚かな行為だ。米国の金融市場は、米経済の強さの源だが、世界の市場を相手に戦っている。外国企業は上場先として、ナスダック市場やニューヨーク証券取引所(NYSE)と同様に、ロンドンや香港、フランクフルトの市場をたやすく選択できる。中国企業による米取引所への上場を禁じれば、こうした米国の企業や資本市場に打撃を与えるだけであり、中国企業が受けるダメージは小さいものとなろう。投資家はそれでも、他のどこかで資金調達ができると思われるからだ。
【社説】米中間の投資制限案、最悪のアイデア
有料会員限定
あなたにおすすめ