日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告を巡る事件は、来年4月21日に初公判が開かれる方向で調整が進んでいる。東京地裁は9月5日の公判前整理手続きで来春に初公判を開く意向を示しており、具体的な期日についてすり合わせてきた。ただ、起訴されたすべての罪について審理されるのではなく、ゴーン被告が自身の役員報酬を有価証券報告書に過少申告したとされる金融商品取引法違反の罪だけ。しかもゴーン被告側は起訴されたすべての内容について無罪を主張するとみられ、裁判の長期化は必至だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
起訴は有報の虚偽記載と特別背任罪
衝撃的な逮捕から1年近くが経とうとしており、どんな事件だったかお忘れになった方も多いと思うので、ここで概要を改めて紹介したい。
東京地検特捜部が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑でゴーン被告を逮捕したのは、昨年11月19日午後。プライベートジェットで雨の羽田空港に降り立った後のことだった。
この時の逮捕容疑は、2011年3月期から15年3月期までの5年間に計約100億円の役員報酬を受け取ったのに、有価証券報告書に計約50億円と過少に記載して関東財務局に提出したとされた。