日産「後継者レース」の行方Photo by Fusako Asashima

急転直下の解任劇で西川廣人・日産自動車社長が失脚した。カルロス・ゴーン前会長の逮捕からわずか10ヵ月の天下だった。すでに、日産社内の関心は「後継者レース」へ移っている。指名委員会が選別した候補者リストには、日本人の日産経営幹部4人が含まれていることが確実視されている。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子)

 西川廣人・日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者。65歳)の電撃辞任が決まった翌日の9月10日午前の東京株式市場では、日産株に買いが集中した。社長辞任で企業統治が改善されるとの期待が高まり、一時、日産株がストップ高になったのだ。

 西川氏にとっては、なんとも後味の悪い引き際である。

 急転直下の“解任劇“だった。SAR(株価連動型インセンティブ受領権)と呼ばれる業績連動報酬を不正に受領した問題で集中砲火を浴びてもなお、西川氏は日本人3人の社外取締役を味方に付ける多数派工作で、9日の取締役会を乗り切るつもりだった。

 仏ルノーとの緊張関係がピークに達し、かつSARの問題が発覚していたにもかかわらず、6月末の株主総会を切り抜けられたことが、西川氏の自信につながっていたのかもしれない。