「失敗しないために」
――終活を考える人へのメッセージ

 最後に、必ずしも「失敗の要因」とはいえないことだが、「会社の終活」を考える方々にとって特に大事なことをいくつかお伝えしたい。

 事業承継とは、一生に一度あるかないかのビッグイベントである。そこで最良の結果を得るためには、

・お金をケチらない
・自分が一番わかっているという思い込みは捨てる
・あらゆる方面から情報を集め、自分にとって最適なアドバイザーを見つける

 ことをお勧めしたい。

・爪の灯をともすような生活も省みず、会社を発展させることだけを考えてきたこと…
・自分の技術ややり方はだれにも負けない、という自負心をもって、すべてを自分で決めてきたから成功したこと…

 などなど、いままでの自分のサクセスストーリーを紡いでいくと、どうしても「誰かに頭を下げて教えを乞う」ことが素直にできなくなってはいないだろうか。

会社の終活本記事の筆者・福谷尚久さんの著書『会社の終活』

 しかしながら事業承継は、ただでさえ初めて(で最後?)のことで勝手がわからないうえ、これまでの自分の知識や知見が通用せず、「情報の非対称性」に悩むことになる。こうした状況に対処するためには、やはりしっかりとした案内人が必要になる。

 最良の結果を得るためには、こうしたやり取りに精通した専門家(税理士・会計士・弁護士・M&Aアドバイザーなど)を探し求め、信頼できる相手であると確信できれば、「(会社のことは)自分のほうがよくわかっている」との思い込みは捨てて、彼らの専門性にゆだねるべきだ。

 そのためには、相応のお金もかかる。もちろんアドバイスの巧拙や、依頼する内容にもよるが、信じた相手であるならば、(日ごろの商売の延長線上のように)ギリギリまで追い込んで手数料をまけさせるような態度は控えたほうがいい。

 親身になって自分のために働いてくれる頼もしい軍師は、働きぶりによっては支払う金額以上の仕事をしてくれる。商売と同様、「損して得取れ」で臨んでいけば、ベストの成果を引き寄せることができるだろう。