能作:新社屋は、2017年、13億円の売上のときに16億円を投資したプロジェクトでした。
――そうだったのですか!? そんな決断、とてもじゃないですが、普通の経営者にはできない!
能作:このプロジェクトのために、小泉誠さん、伝統技術ディレクターの立川裕大(たちかわ・ゆうだい)さん、グラフィックデザイナーの水野佳史(みずの・よしふみ)さんと僕で、2014年から月1、2回、本社や東京でミーティングを開いてきました。
時には視察旅行に行って、夜な夜な酒を酌み交わしました。
学生時代の部活の延長のような感じで川上(企画立案)から川下(販促)まで、一緒にやってきた。それが、最後まで価値観がぶれずにうまくいった理由かもしれませんね。
――それはいい話ですね。なかなか個性あふれるデザイナー集団と経営者が夜な夜な!相当レアなケースでは?
能作:そうみたいですね。私もこういうコラボが初めてだったので、わからなかったのですが……。
――小泉さんとのやりとりで印象的なことはありますか?
能作:いっぱいありますよ。なにせ20年弱のつき合いですから。詳しくは『社員15倍! 見学者300倍! 踊る町工場』に「デザイナー・小泉誠さんの証言」というコラムがありますので、ぜひご覧いただければと思います。
――それは、ぜひ読んでみたいです!しかし、本当に「コレド室町テラス」の「能作」にまた行きたくなりました。
能作:ぜひお越しください。お待ちしています! 下記が「コレド室町テラス店」の写真ですが、富山の本社の雰囲気を少しでも知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。
1960年、東京生まれ。木工技術を習得した後、デザイナー原兆英(はら・ちょうえい)氏と原成光(はら・しげみつ)氏に師事。 1990年、Koizumi Studio設立。2003年にデザインを伝える場として「こいずみ道具店」を開設。建築から箸置まで生活に関わるすべてのデザインを手がけ、現在は日本全国のものづくりの現場をかけ回り、地域との恊働を続けている。 2015年には「一般社団法人わざわ座」を立ち上げ、手仕事の復権を目指す活動を開始。2005年より武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授。2012年毎日デザイン賞受賞。2015年日本クラフト展大賞。2018年JIDデザインアワード大賞。
1958年、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。大手新聞社のカメラマンを経て1984年、能作入社。未知なる鋳物現場で18年働く。2002年、株式会社能作代表取締役社長に就任。世界初の「錫100%」の鋳物製造を開始。2017年、13億円の売上のときに16億円を投資し本社屋を新設。2019年、年間12万人の見学者を記録。社長就任時と比較し、社員15倍、見学者数300倍、売上10倍、8年連続10%成長を、営業部なし、社員教育なしで達成。地域と共存共栄しながら利益を上げ続ける仕組みが話題となり、『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)など各種メディアで話題となる。これまで見たことがない世界初の錫100%の「曲がる食器」など、能作ならではの斬新な商品群が、大手百貨店や各界のデザイナーなどからも高く評価される。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞、第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリ、日本鋳造工学会 第1回Castings of the Yearなどを受賞。2016年、藍綬褒章受章。日本橋三越、パレスホテル東京、松屋銀座、コレド室町テラス、ジェイアール 名古屋タカシマヤ、阪急うめだ、大丸心斎橋、大丸神戸、福岡三越、博多阪急、マリエとやま、富山大和などに直営店(2019年9月現在)。1916年創業、従業員160名、国内13・海外3店舗(ニューヨーク、台北、バンコク)。2019年9月、東京・日本橋に本社を除くと初の路面店(コレド室町テラス店、23坪)がオープン。新社屋は、日本サインデザイン大賞(経済産業大臣賞)、日本インテリアデザイナー協会AWARD大賞、Lighting Design Awards 2019 Workplace Project of the Year(イギリス)、DSA日本空間デザイン賞 銀賞(一般社団法人日本空間デザイン協会)、JCDデザインアワードBEST100(一般社団法人日本商環境デザイン協会)など数々のデザイン賞を受賞。デザイン業界からも注目を集めている。本書が初の著書。
【能作ホームページ】 www.nousaku.co.jp