「引きこもり」するオトナたち
「人間として、扱われていない感じがします」地方に住む41歳のシングルファザーは、厳しい現実を訴える(写真はイメージです) Photo:PIXTA

離婚をきっかけに会社を辞め
郷里に帰ったシングルファザー

「人間として、扱われていない感じがします」

 そう厳しい現実を訴えるのは、地方に住むシングルファザーの佐藤嘉高さん(41歳・仮名)。都会のIT企業を辞めて郷里に帰ったものの、2人の子どもを世話しながら生活していくために転職ができず、ほぼ引きこもり状態に陥った。

「ここを出なければ、生きていけない」

 そう思ってこの2ヵ月間、東京と近隣の都市部でIT技術を活用した仕事を求めて、約250社に応募する。しかし採用されたのは、IT経験とは関係のない営業職の2社だけだった。
 
 高校時代まで郷里の町に住んでいた佐藤さんは、実家を離れて都市部の大学に入学した。

「郷里に帰ると、ひどいことになる」

 そう友人から聞いて、大学卒業後は仕事が決まっていなくても東京に行こうと考えていた。しかし、佐藤さんは就職氷河期世代。東京に行っても半年ほど就職できず、バイトをした。日給8000円ほどのバイト代で、ライブ会場をつくったり、ビルの清掃をしたりしながら、正社員を探していた。

 そんなとき、IT企業でワリのいいバイトの募集があった。月に25万円もらえて、深夜手当もつく。3ヵ月後、そのIT企業から「正社員になってくれ」と言われ、月25万円が固定給になった。佐藤さんは、会社でプログラマーになる道を歩み、13年にわたって勤務した。

 転機が訪れたのは、5年前のこと。佐藤さんは、妻と離婚したのをきっかけに会社を辞めた。2人の子どもはまだ小さかったため、父母の住む郷里に戻った。親権も2年かかった裁判の末に、父親である佐藤さんのほうが認めてもらえた。

 東京には、新築住宅を購入したばかりだった。そこで裁判後、ローンを精算した。退職時、佐藤さんは部長を務めていて年収も500万円ほどあった。しかし、「裁判費用」と「オーバーローン完済」と「引っ越し」経費で、貯金をほぼ失った。