「『an』の終了は予想していたので驚きはありません。近年、10代から20代のデジタルネーティブ世代を中心にWebからリアルへのシフトが起きており、私はこれこそが本質的な原因であるととらえています。この世代はWeb上にあふれる情報の信憑性に疑問を持ち始め、より生の情報を重視する傾向にあります」(鈴木氏)

株式会社MyRefern(マイリファー)の鈴木貴史CEO


 この変化はアルバイト市場のみにとどまらない。いまや学生の約7割が、身近な友人、知人、内定者やOB・OGといったつながりを活用して就活の相談や情報収集をしているという。転職においても、SNSや自身が所属するさまざまなコミュニティーから生の情報を得た上で入社先を判断する若者は増えており、従来のように採用メディアやエージェントの活用を中心とした採用活動では、こうした層を引きつけることが難しくなってきている。

 さらに、鈴木氏が採用のアップデートの必要性を唱える背景にはもう一つの事情がある。若者のキャリア観の変化だ。かつて転職といえば会社の人間関係が悪いなどのネガティブな理由が多かったが、売り手市場という追い風もあり、新たなスキルを身に付けたいなどポジティブな理由から転職する人が増えているという。

「若者は上の世代よりも転職をポジティブにとらえています。求職者側が仕事を選択しやすい立場にあり、不満がなくても成長のために転職していく今、企業は給与などの待遇面ではなく、社員が会社に前向きにとどまり続ける理由を提示していく必要があります。従来の人事のあり方では人材を確保し、維持していくことはできません」(鈴木氏)

人事はおすすめしたい会社をつくる
ディレクターになるべき

 若者の求職トレンドが大きく変化しているにもかかわらず、「採用市場はほとんど変わっていません」と鈴木氏は指摘する。マイリファーはインテリジェンスの社内ベンチャーとして立ち上げられ、その後独立しているが、大手人材企業にいながらリファラル採用を支援するようになった根底にも、変化しない採用市場への危機感があった。