人・組織を鍛え抜く 日本電産「永守流」#2

海外企業のM&Aで失敗する日本企業が多い中、これまで64社のM&Aを全て成功させてきた日本電産の永守重信会長。その鍵は買収後のマネジメント(PMI)にある。特集「人・組織を鍛え抜く 日本電産『永守流』」の#2では、永守会長が買収先企業の意識を変革し、“ミニ永守“へとたたき直す「任せて任さず」の極意を明かす。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

人を育てる要諦は
「任せて任さず」の姿勢

――人を育てる上で最も重要なことは何でしょうか。

 一言で言えば「任せて任さず」です。人は、気になることは任せ切れません。任せ切れないと部下は育たないのです。任せ切ってしまうと見えていない所で大きな問題が起こります。だから、任せるけどちゃんと見ている「任せて任さず」という姿勢が必要です。

 これを実践するためにはまず、育てる人に対して関心を持つこと。いつもその人が何をしているのか、さりげなく周りから情報を取って、悩んでいたり、体調が悪そうだったりしたら、すぐに呼び出して「調子はどうだ」と声を掛けます。必要だったらガツーンと叱ったりもします。そうやって、任せているようで実は全部把握しているということを、相手に分からせることが重要なんです。