「大手企業では、毎年採用に億単位の費用を割くケースも少なくなく、従来、人事部門はコストセンターとして位置づけられていました。採用KPI(重要業績評価指標)を達成するのが人事の役割であり、人事は人を確保する“採用マシーン”にならなくてはいけなかった。その結果、必然的に母集団形成しやすいエージェントや求人媒体を使う構図になっていたのです。

 ですが、人が採れない、定着しない、求職トレンドが変化している今、人事担当者に求められているのは、リアルなつながりでおすすめしたくなる会社を戦略的につくっていくディレクターになることです。

 まず社員を会社のファンにし、例えば友人からキャリア相談を受けたら選択肢の一つとして自社を提示してもらえるようにする。採用はこれまでのような募集人員を満たす活動ではなく、ファンづくりと考えるべきだと思います」(鈴木氏)

株式会社MyRefern(マイリファー)の鈴木貴史CEO

 社員に自身の知人など、身の周りから人材を紹介してもらうリファラル採用は、近年、メルカリをはじめとするメガベンチャーが取り入れていることでも注目が高まっている。鈴木氏は「リファラル採用を通じて全社的に採用に取り組むことが、人事戦略のキーファクターである人材のエンゲージメント向上にもつながる」と続ける。

「社員がリファラル採用に参加すると、人材という経営資源に関与できるという当事者意識が醸成され、さらに自身の入社動機や仕事の面白さを周囲に語ることで、自社の魅力を見つめ直すことができます。その結果、エンゲージメントが高まって人材が会社にとどまりやすくなるんです」(鈴木氏)

 日本はエンゲージメントが高い社員の割合が6%しかなく、米国の32%と比べて大幅に低いという米国コンサルティング会社による調査データもある。社員に会社をおすすめしてもらうとなれば、限られた一部の企業しか活用できない、もしくは先にエンゲージメントを高めておく必要があるようにも感じるが、実際にはリファラル採用に取り組むこと自体が一つのエンゲージメント向上施策として機能するというわけだ。

リファラル採用は
全社を挙げて戦略的に行う

 ところで、リファラル採用について、古くからある縁故採用との違いに疑問を持つ人もいるのではないか。