パリ警視庁に勤務する男が先週、同僚4人を殺害した事件がフランスに波紋を広げている。容疑者はイスラム過激思想に染まっていたとみられており、こうした危険人物がテロ対策の中核となる対諜報(ちょうほう)部門で過去数年にわたり勤務を許されていた事実が発覚し、仏国内に衝撃が走っている。フランスでは足元、過去数年に相次いだテロが沈静化に向かう兆しが出ていたが、今回の事件を受けてこうした安心感が打ち消された。クリストフ・カスタネール内相に対しては、野党議員から引責辞任を求める声が上がっている。カスタネール氏によると、ミカエル・アルポン容疑者(45)は同僚との議論で、2015年に発生した雑誌シャルリ・エブドへのテロ攻撃は正当化されるなどと発言していたにもかかわらず、パリ警視庁の対諜報部門で引き続き勤務することが容認されていた。同僚らは上司にアルポン容疑者の発言を報告していたが、仏国内の過激派を追跡するデータベースに危険人物として登録されなかったという。容疑者はイスラム教に改宗していた。